循環式浴槽てなに?
循環式浴槽とは
循環式浴槽とは、温泉水や水道水の使用量を少なくする目的で、浴槽の湯をろ過器を通して循環させることにより、浴槽内の湯を清浄に保つ構造の浴槽のことを指します。
循環式浴槽のなかでも「連日使用型循環浴槽」は、浴槽水を24時間以上完全換水を行わないで循環ろ過する浴槽、いわゆる24時間風呂です。
構造としては集毛器(ヘアーキャッチャー)、循環ポンプ、消毒装置、ろ過器、加熱器(熱交換器)、循環配管によって構成され、浴槽内の湯を浄化し適温に保つことができる構造になっています。
浴槽の湯は、髪の毛などの混入物が集毛器で除去され、消毒剤などを用いて消毒します。消毒剤には塩素系薬剤が推奨されていますが、温泉の中には塩素消毒の効果が十分に発揮されない泉質もあります。そういった場合は、オゾン殺菌や紫外線殺菌により消毒が行われています。その後、ろ過器で更に微細な汚濁物質がろ過され、加熱器で適温に温めて浴槽に戻されます。
この他に「毎日完全換水型循環浴槽」があり、その構造は主に循環ポンプとろ過器で構成され、浴槽水は毎日完全換水を行っています。
温浴施設では多くの利用者が快適に入浴できるよう、効率的な運用が求められます。その中でも循環式浴槽は一般的に使用されていますが、そのメリットとデメリット、そして衛生管理において注意すべき点について解説します。
循環式浴槽のメリット
水の節約
循環式浴槽は水を再利用するため、新たに大量の水を使わずに済みます。これにより、水道料金の節約が可能となり、環境にも優しいです。
温度管理の容易さ
水温を一定に保つことができ、利用者にとって快適な入浴環境を提供できます。温度の変動が少ないため、常に最適な状態を維持できます。
コスト効率
継続的に水を使用するシステムのため、一度設置すればランニングコストが比較的低く抑えられます。設備投資の回収がしやすく、長期的な経済性に優れています。
循環式浴槽のデメリット
汚染リスク
一番のデメリットでありリスクがこちらになります。
水が循環することで、汚染物質や細菌がシステム全体に広がるリスクがあります。特にレジオネラ菌の発生リスクが高まるため、衛生管理が非常に重要です。
メンテナンスの必要性
循環システムのメンテナンスが欠かせません。フィルターの定期的な清掃や交換、配管の洗浄が必要です。これを怠ると、システム全体の性能が低下し、衛生状態も悪化します。
初期導入コスト
循環式浴槽の設置には初期投資が必要です。特に大規模な温浴施設では、設備導入費用が高額になることがあります。
衛生管理において注意すべき点
では衛生管理においてどのような管理が重要になるのか?について解説します。
定期的な水質検査
水質検査を定期的に行い、基準値を超える汚染物質や細菌がないかを確認します。
特にレジオネラ菌の検査は必須です。検査結果を基に、必要な対策を迅速に実施します。
消毒と洗浄の徹底
定期的な消毒と洗浄を行うことで、細菌の繁殖を防ぎます。消毒剤の選定と適切な使用方法を徹底し、浴槽内外の清掃も定期的に実施します。
フィルターと配管のメンテナンス
フィルターの定期的な交換や洗浄、配管のクリーニングを怠らないことが重要です。バイオフィルムの形成を防ぐための専用の洗浄剤を使用することも検討します。
従業員の教育と訓練
従業員に対して衛生管理の重要性を理解させ、定期的な教育と訓練を実施します。具体的な対策や緊急時の対応手順を共有し、全員が適切に対応できるようにします。
循環式浴槽を導入している施設
循環式浴槽は、多くの施設で利用されている効率的な温浴システムです。このシステムを導入している施設にはさまざまな種類があり、それぞれに独自のメリットがあります。以下に、循環式浴槽を導入している主な施設とその特徴について解説します。
温泉施設
例: 温泉旅館、温泉リゾート、日帰り温泉施設
特徴: 自然の温泉水を利用しながら、循環式システムで水の質を保つことができます。
メリット: 温泉水の再利用が可能で、環境負荷を軽減しながら効率的に温浴サービスを提供できます。温泉の成分を一定に保つことができるため、常に高品質な入浴体験を提供できます。
ホテル・リゾート施設
例: シティホテル、リゾートホテル、ビジネスホテル
特徴: 多くの利用者に対して快適な入浴環境を提供します。プライベートなバスタイムを楽しめる客室付きのバスや、共用の大浴場に導入されています。
メリット: ホテルの宿泊客にリラックスできる入浴体験を提供し、滞在の満足度を向上させます。効率的な水の管理が可能で、運営コストの削減にも寄与します。
スポーツ施設・フィットネスクラブ
例: ジム、スポーツクラブ、スパ施設
特徴: 運動後のリラクゼーションとして、サウナやジャグジーと共に循環式浴槽が設置されています。
メリット: 利用者が運動後にリフレッシュできる環境を提供し、施設の付加価値を高めます。水質管理がしやすく、清潔な環境を維持できます。
公共浴場
例: 銭湯、公衆浴場、コミュニティバス
特徴: 地域住民が気軽に利用できる入浴施設として、広い浴槽を持つことが多いです。
メリット: 多くの人が利用する公共浴場において、効率的に水を管理しながら清潔な入浴環境を提供できます。運営コストの削減とともに、地域社会に貢献する施設運営が可能です。
医療・福祉施設
例: 病院、介護施設、リハビリセンター
特徴: リハビリテーションや治療の一環として、温浴が利用されています。
メリット: 患者や利用者の健康管理に役立ち、リハビリやリラクゼーション効果を提供します。清潔な環境を維持するための水質管理が重要で、衛生面での安全性を確保します。
まとめ
今回解説したように循環式浴槽は様々な施設で活用されております。重要なのは安全安心な施設運営を行うために、定期的なメンテナンスと点検やチェックなどの運用体制です。その体制を構築するためには従業員の皆様の知識共有や学習も重要になります。
施設の安全対策に不安な方やメンテナンスをプロにお願いしたい方はぜひ弊社にお気軽にご相談ください。